*** 長崎県佐世保市同級生殺害事件によせて ***

去る6月1日にとても痛ましい事件が起きました。
被害者も加害者も同じ学校で同級生、しかも仲良しだっということ。
それが、ネットに書き込んだ小さいな争いがもとで片方の少女を殺人へとはしらせてしまいました。
この1週間、さまざまなメディアで情報や報道をみていましたが、真相が明らかになるにつれていろんなことがみえてきます。

そんな中でいくつか気になった点をいくつか。
 ※あくまで私の個人的主観ですので、クレームはご遠慮下さい

1.普段毎日接している仲だというのにネットでのトラブルを直に話していなかったということ。
加害者は自分の容姿に対する中傷を被害者に書かれたということですが、それをネットで止めてといいつつリアル(現実)では口にしていなかったようです。
書かれたくないイヤなことなら、ネットだけでなく実際に顔をみて止めるように頼んでいれば、このような事件は起こらなかったかもしれません。
言葉だけの世界はとてもやりとりが難しいものです。
軽い気持ちで発した一言が相手をひどく傷つけてしまうことも少なくありません。
面と向かって話していれば、その場でフォローすることも言い直しをすることもできます。
表情で冗談かどうか判断することもできます。
でも、ネットという文字でしか交流をはかることができない世界はそれができません。
せっかく身近にいて話す機会があったのだし、顔を見ながら自分の口でイヤだと思うことを話せばよかったのにな。と思わずにいられません。

2.ネットマナーをきちんと身につけていなかったこと。
今回の事件は、小学生がおこした事件です。
正直いって、「あぁ、とうとうやったか」という気持ちがないではありません。
ネットを繋いで5年少々になりますが、各家庭にパソコンが普及するにつけて若い世代のユーザーが増えてきました。
それに伴い、本来ダブーであるネチケットを平気な顔で犯すユーザーも増えており、その大半は小学生です。
ダメよ、と諭してもまず間違いなく「小学生なんだもん。初心者なんだから知らなくてもしょーがないでしょ?」という反論がかえってくるのが現状。
小学生だから。初心者だから。このような言い訳は通用しないんです。
日本語を読める人なら、ネットにたくさんネチケットのサイトが開設されていますから記事を読んで覚えることができます。
知らないのではなく、知ろうとしない。
これが今回の事件のきっかけのひとつではなかったのか、と。

そもそも、人の外見をけなすという行為自体リアル(現実)でだってしてはいけないことです。
してはいけないことを不特定多数が閲覧するHPにアップするということは多少なりの報復を受けても仕方がないかもしれません。
ですが、だからといって命を奪うのは勿論論外です。
ただ、ネチケットに限らずそういった基本的な人として生活するうえでのマナーやモラルを欠いたユーザーがまだたくさんいることは否めません。
残念なことですけれども。

3.子供をとりまく環境が無責任だなということ。
■親
時代がすすみ、家庭にパソコンがあるのはアタリマエ。
場合によっては子供の自室にパソコン1台というご家庭も多いと思います。
パソコンはいまの時代必須に近い状態ですから、小さい頃から馴染ませようという意図が判らないではありません。
ですが、ほしいとせがまれてホイホイ買い与える親のなんと多いこと。
お子様をお持ちの皆さんにお尋ねしたいのですが、お子さんが普段どういうサイトへ出入りしていて、どういう友達とメール交換をしているか把握されていますか?
自分は苦手でパソコンは子供に預けたきり、という方も少なくないのではないでしょうか。
貴方が知らないところで、お子さんは法を犯しているかもしれません。
Winny然り、著作権侵害然り。
私の友人に高1で2chにハマり、親がパソコンに疎いのをいいことにアダルト画像やコピーDVDなどを収集しまくっているという人がいます。
「そんなことして大丈夫?」と問いかけると、答えは決まって「親は自分がなにしてるか知らないし。第一、探そうとしてもどうせ判らない。深い階層に隠してるし、ロックかけてあるから」と。

いまさらパソコンなんて覚えられないと言う方もいるかもしれません。
興味がないからいいの。と言う方もいるかもしれません。
でも未成年のお子さんを持っていて、お子さんがパソコンを使うならせめて世の常識をきちんと教えてから使わせて下さい。
人の作ったものを盗んではいけない。人を傷つけるようなことを言ってはいけない。
パソコンに限らず、本当に基本的なことです。
基本を知らないまま、パソコンを使っている若い世代は多いのです。
成人していれば自分で責任をとるしか術がないのに対し、未成年の責任は親である貴方にかかってきます。
パソコンを買い与える前にしっかりとマナーを教えてほしいと心から願います。
できることなら、大丈夫だと判断できるまでお子さんが繋ぐ時はそばにいて一緒にパソコンをいじってみてほしいと思います。
お子さんが普段どういったところへ遊びにいって、どういう言葉でどういう会話を知ることができますから。
そして、いけないと思ったらその場で注意する。
本来ならこれが理想なんでしょうけどね。

■学校
また、学校もネットやメールの使い方を教える前にやっていいこと・悪いことの基本を一番最優先で教えるべきでは。
ある学校では子供達に自分でHPを作らせる授業をしているそうですが、技術的なことを指導する前にもっと教えなくてはいけないことがあるでしょうに。
電源を入れる前に子供たちがしっかりとモノゴトの善悪というものを認識しているか再確認するべきではないでしょうか。

■HPスペース提供サイト
ネットが盛んになるにつれ、簡単な情報とクリックだけでHPや掲示板を作成できるサービスを展開しているサイトが個人・企業を問わずたくさんあります。
いくつかに登録していますし、事件の発端になったHPと同等のシステムを扱っているところもたまに利用しています。
登録時に必要なデータはメールアドレス、郵便番号、希望アカウント、希望パスワードといった本当に簡単なものばかり。
子供たちが気軽に登録するのは当然です。
が、登録したあとの運営をサービスする側はきちんと管理しているのでしょうか?
よく検索をかけてランダムにサイトを巡りますが、小学生らしき管理者が運営しているHPは………。
著作権のついた画像や音楽をむやみに貼り付け、機種依存文字を乱用し、イタダケナイ言葉使いで日記や掲示板に書き込む。
そんなHPをよくみかけます。
スペースを提供するなら、きちんとユーザーを管理するのが普通ではないかと。
提供する側にしてみれば開設した以上は管理しているユーザーの責任だと思われるかもしれません。
でもそれはあまりに無責任だと私は考えています。
無料だしね、という理論は、例えばサーバがなんらかの原因でダウンし、データが消失したといったことに対しては通用するでしょう。
ですが確定できないとはいえ未成年にスペースを提供するという意味をもう少し真剣に考えていただければ幸いです。
匿名性の高いネットで実年齢を断定するのは確かに難しいことでしょうが、保護者の同意がなければ開設不可、フリーアドレスは登録不可など方法はいくらでもあるのではないでしょうか。


総じて思うこと。
もっとネチケットをきっちり身につける機関なりシステムなりが充実することを切に希望します。
パソコンを購入した時は必ず講習会に参加して卒業証明書がないと使えないとかね。
ハード(パソコン)ばかりが先行して、それを使うユーザーの質はお話しにならない状態です。
小学生はマナー知らず、小学生はネットに繋ぐな!と世間は騒ぎますが、そういう子供をネットに野放しにしているのは私達大人なのだということを忘れてはいけません。



被害にあわれた方のご冥福をお祈り申し上げます。

JUNE .6, 2004//Noah